昨日NHKの「クロ現+」という番組で「科学的介助」について放送していた。
実はその放送前の朝に、たまたま今私がやっている精神病の妻のためになりそうな介助方法について投稿しようかと考えていたのだが、どうせなら放送を見てから、その内容と比較しながら書いた方が有意義なものになるかと思い直し、今書いている次第だ。これは以前書いた「タバコの効用」からの流れで、私がタバコを吸うことのほかに妻の療養に役立つそのほかの要因もまとめたいと思っていたのだ。妻の場合は「統合失調症」で、昨日のNHKの番組で扱っていたのは主に「認知症」や「老人性痴呆」に関するものだと思うが、子供還りや暴言、幻覚、妄想、問題行動など共通する症状も多いので、私自身が妻を介助する際にも参考にもできる内容だった。
番組の内容
昨日の番組内では、要するに「介助者視点での合理的な介助ではなく、科学的な根拠を持って論理的に理想の介助を導き出す取り組み」についてまとめられている内容だった。具体的には、優れた介助者と普通の介助者の視点(見ている箇所や回数)の比較から、被介助者がより安心できるポイントを見つけ出したり、優れた介助者が行なっているボディタッチのパターンをセンサーを仕込んだ着衣を利用することで明らかにする、などの取り組みを紹介していた。
番組によると、優れた介助者は被介助者の目を頻繁に見ており、しかもその距離も近く、角度も適正であるということだ。比較されていた普通の介助者は、被介助者の目を見る回数が少なく、その距離も遠かった。
そのほかにも、被介助者の体を介助者が動かす際などにも、きちんと説明して安心してもらうことの重要性についての言及や、被介助者一人一人についてチェックシートを使って細かく状態を把握し、それに基づくカスタマイズされた介助プランを立て、実施してみてうまくいかなければ再度現状把握のフェーズに戻ってサイクルを繰り返す、という取り組みをしている介護施設の例なども紹介されていた。この取り組みは都内のすべての施設に2025年までに広げていくとのことだ。
成果を上げている介護施設には国から報奨金も出る制度が作られるそうだ。改善の見込みのない被介助者が置き去りにされる懸念も紹介していたが、総じてこれらの取り組みは、被介助者の心に着目した新しい介護ということで、非常に結構なことだと思う。現実世界を見れば、日々ニュースなどであちこちの介護施設での被介助者に対する介助スタッフの暴行事件や殺人事件が世間を賑わし、また介護施設は常に人手不足にあえいでいるらしい。番組では、こういった「科学的介助」の方法が広まることによって、とかく結果が出ず、目標を見失いがちな介護をする側のモチベーションも上がるのではないかと括っていた。
私の経験に照らして
この番組を見て、私が今妻の介助をしていて、うまくいったこと、いかなかったことなどと比較すると、合致している点は次の二つだろうと思う。
1 被介助者の心を大事にし、ストレスの要因をなくしながら、被介助者目線で介助する
2 被介助者の目を見る、ボディタッチなどをして被介助者が安心できるようにする
上記のうち1については、もちろん規格化する必要もないのでチェックシートなどは使っていないが、私は妻の生い立ちや過去の経験なども詳しくこれまでに聞いていて知っているので、よりカスタマイズされた内容になっていると思う。2についても、番組で使っていたような介助者装着カメラのようなもので、目を合わす回数や距離、角度なども測定したり、センサー付き着衣でボディタッチの傾向も把握したりしないので非常に経験則的なものではあるが、概ね番組での取り組みと合致していると思う。
ただ、少し思ったこととしては、規格化して多くの介護施設ですべてのスタッフが理想的な介助方法ができるようになるというのはいいことだと思うのだが、一番大事なことは「介助者の被介助者への愛情」だと思うので、この部分をプロの介助スタッフが、すべての被介助者に対して持てるかどうか、というのがポイントになると思う。
極論すれば、介助者が被介助者にたっぷりと愛情を持って接していれば、私の例で恐縮だが、私がたとえ「ネコパーンチ!!!」とか言いながら妻のほっぺたをゆっくりと弱い力でパンチしてほっぺたをぶにゅにゅにゅ〜っと歪めたりしても、それを両ほっぺたにお見舞いして妻の顔をムンクの叫びのような状態にしたとしても、妻は喜んで笑っているのだ。
私の場合は、こういうことができるためには、長年の介護と先の見えない人生展望からくる私自身のうつ状態を改善するためにタバコの力を借りる必要があるのだが。
このことから考えると、現在行われている「科学的介助」の取り組みが、少しでも全国のプロ介助者の「成果の出なさ」や「やりがいを感じることの難しさ」そしてそれから派生する「人手不足」を解消し、介助者の方々の気持ちにも余裕が生まれて、被介助者一人一人に愛情を持って接することができるようになれば、日本の介護施設も、そこに入所する被介助者もハッピーになれるのではないかと考えている。
コメント
心配しながら、ずっと見ています。
金銭的な困難とか色々大変なことはあるでしょうが、奥さまを介護しながら仲睦まじく生活を営んでいることを読んで、ほっとしています。
ご多幸を祈念致します。
はじめまして。
私も同様に統合失調症の妻を持つ者です。
過去の記事を拝見させて頂く限り、大変な思いをされてきたとお察しします。
私は妻のことを半ば諦めているのかもしれません。ただ別れはしません。
その理由は、7歳の娘を妻から守りたいからです。今は愛情よりも憎悪ですかね。
奥様の爆発がお店で起こった記事。私はその状況が、リアルに想像出来てしまい涙が出そうになりました。
何を話そうと書き込んでいるか、何かあれですけど。
しばらく更新されてませんね。
自分もschizoさんを見習って、妻に関する記録を付けています。
仕事や家事で忙しく、小まめに記録を付けるのは大変ですし、実際出来ていません。
schizoさんも変わらぬ日常を過ごされてることを願っています。
今日のお昼から、2012年から一気に読ませて頂きました。
まるで小説を読んでいるようで、さらさら読めました。
もちろん共感して、こちらも嫌な思い出を思い出す場面もありましたし、
ホッコリするような描写もあり時間を忘れました。
また考えさせられました。
私も同様に妻は統合失調症でさらに発達障害でもあります。
発達障害なので子供の頃から、自分は何をやっても出来ない子、友達ができない悲しい子という状態で、そうとう苦労して生きてきたようで、
そのストレスから統合失調症の併発だと思われます。
(20歳で統合失調症と診断、40歳で発達障害が追加で診断)
昨年2018年断薬に挑戦、2019年5月に20年ぶりに統合失調症が再発・再入院。
現在は退院して、投薬治療で安定している状態です。
統合失調症がMAXの時は似たような状態ですが、再発前及び投薬治療をしてからは、障害等級2級で、一人で買い物や身支度・家事は、なんとかできます。
調子が良い時は手料理を作ってくれたりもします。
(昨日もカレーを作ってくれました)
正直手際が悪い事や、ミスに文句を言ってしまったこともたくさんあります。
統合失調症が再発した時は、手際が悪い事や、ミスくらいで文句を言った自分が嫌になり、統合失調症が収まっていれば発達障害ではあるが、好きな事が当たり前にできる状態がいかに恵まれた状態だったのか気づきました。
今は投薬治療で症状を抑えている状態なのですが、薬の影響で常にダルそうで、常に眠そうな表情です。また思考や判断も鈍くなっているので、正直薬なんか飲まない方が良んじゃないのか?でも飲まないとまた統合失調症が・・・と永遠の葛藤があります。
薬を飲ませて本来の自分を抑制された状態が良いのか、たとえ病状がでても本来の自分の姿でいさせてあげた方が良いのか・・・。難しいですね。
こちらも私も本人も病院も薬も否定派ではありながらも、他人に迷惑をかけないように一般的な日常生活が送れるようにと、しぶしぶ本人が納得して治療している状態です。
schizoさんのブログを読んで、私も自分の自営業をやめて生活できる道があるのであれば、妻の為に一緒に長い時間を共有しながら生活するのも必要なのではないか?症状が悪化した時にそうしなかった自分を責めるのではないか?と
本気で考えさせられました。
更新が無いようですが、ものすごく気になります。
ブログのファンとして、同じ境遇のものとして。
(自分36歳 妻42歳です。)
お元気でしょうか。
お二人が穏やかに幸せに暮らしてますように。
愛情いっぱいに奥様と向き合うschizoさんも、愛らしい奥様も、どうかお幸せに。
訳あって人ごとと思えず、ずっと拝見しておりました。
更新が途絶えているのが気がかりです。
なんとかご無事でありますように。
我が家は現在、次の一手を模索中です。
Toshiです。
もうすぐ最後の更新から1年近くになりますね。たぶんいろいろとおありなのでしょうね。ご苦労をお察し申し上げます。
外部の者がいくらお気持ちを量っても、状況が変わるわけではありませんから、少しでも同じような境遇の方からの言葉を聞くだけで心が和らげばと思います。
現実は壮絶な修羅場でしょうから、私のようにパニック障害を引き起こす人も出てきます。でも、生きていかなければいけませんから、それでも生きる道を探りながら、命を絶たない工夫をしなければいけません。まさに修行です。そのような人生を選んで生まれてきたと私は思っています。
何の助けにもなりませんが、現在の私の環境をお伝えしますね。重度心身障碍児として生まれた娘は21歳になり、子どもの施設に18歳を過ぎてもお世話になっていましたが、今年の3月にようやく成人施設の空きができ、そこに移ることができました。
ただ、そこは通過型の施設を標榜しており、3~5年後にはグループホームへの移行を目指しています。つまり、終身の施設ではないと訴えているところです。
理想としては素晴らしいとは思いますが、IQが1歳の赤ちゃん程度、食事は流動食、おむつも取れていない娘にそれが可能かどうか、親としては不安だらけです。
しかし、親の要求が通るとは限らないのが現在の日本の福祉状況ですから、そのときはそのときで対処するしか道はないようです。理想と現実のギャップはここにも歴然としてあります。
また、妻は半月ほど前、担当医から突然、新薬を処方され、いつものように躁転現象が起こり、医者とケンカになりました。今は新薬を止めましたので元に戻りつつありますが、患者の同意もなく新薬をいきなり処方する精神科医もどうしようもありませんね。現在は状況を見守っている状態ですが、医者を変えるかもしれません。妻は患者会に入っていて、そこに来てくれている精神科医がいますので、その先生のところへ行くかもしれません。ただ、その先生がいる病院も予約が満杯で入れるどうか微妙です。良心的な先生のところへは患者が殺到しています。いかにどうしようもない精神科医が多いかわかります。
話は変わりますが、私のパニック障害は自分でほぼ治しました。広島の藤川先生という精神科医が薦める栄養療法を実行したところ、再発がなくなりました。鉄分の補給とビタミンの摂取、それにたんぱく質の摂取で治ります。精神の安定にはナイアシン(ビタミンB-3)が効果的です。妻にも飲ましていますが、気分が安定してきたと言っています。
通常の精神科医がくれる強い精神病薬は毒薬、覚せい剤と同じです。中毒になるか、副作用で人生がメチャメチャになるか、どちらかですね。妻の兄も統合失調症で48歳で廃人になって亡くなりました。医者の言い分は「暴れるよりはいいだろう。自殺するよりはいいだろう」とこのようなものです。それが今の精神科医療の実態です。
私と妻とのこのような暮らしも10年目に入りました。いつ、また、どうなるかわかりませんが、二度と入院はさせないつもりです。入院病棟はまさに地獄絵です。一緒に暮らす家族は肉体的には楽になりますが、精神的には何ら解放されません。最後まで妻と、そして施設にいる子どもと生きていくつもりです。
shizoさんも何とか奥様と生きながらえて下さい。
苦しく、険しい道ですが、肉体を離れた魂の世界ではその逆の世界が必ず待っています。それだけはお約束しておきます。
ブログを書かれるようになれることをお祈りしております。
Toshiより
2年ぐらい前にこのブログを知り、私も同じ病気で、時々更新されているか気にしています。他の方の様に気の利いた事は言えませんが、今も待っていますとお伝えしたいです。