2018年のクリスマス

12月に入ってから、妻の調子は目に見えるほど好調になってきた。11月まではあれほどほぼ毎日と言っていいほどカレンダーには××(二重バツ)が並び、毎日激しくこれまで出会った女性たちから芸能人まで、顔を紅潮させワナワナ興奮で震えながら罵り、その人たちと幻想の中で喧嘩しながら皿やコップを割りまくっていたのと打って変わって、12月のカレンダーには◎(二重まる)がたくさん並んでいる。11月には寝れない夜が続いて、私も身体的にも精神的にもきつかったが、12月は穏やかな日々の方が多いので助かっている。眠れている日が多いので、当然妻の健康状態にもよい影響があると思う。

この好調には思い当たる原因がある。それはこれまで何度か書いた妻の飼っていたネコの誕生日があるのだ。妻が高校生だった頃のクリスマス・イブに妻の父が子猫を買って帰ったらしい。なので12月24日はそのネコの誕生日ということになっているのだ。妻は家中のカレンダーの12月24日の部分にネコシールを貼り、手帳には“〇〇誕生日、ハッピーセット、ケーキ”と書いてそわそわしていたのだ。このネコの誕生日が楽しみで、いい緊張感になって好調につながっていた面が大きいと思う。

12月に入るやいなや、妻は私が前々からクリスマスプレゼントであげるよと言っていた“サガ・スカーレットグレイス”というゲームを「買っていいよ」と言ってきたので、「まだ早いなぁ」と思いつつもインターネットで注文した。だから妻は今月の調子の良い日にはそのゲームをやっている。相変わらずゲームの進行は遅いし、戦いでは負けまくっているが、楽しそうだ。その他の活動としては、私が買ってきたいくつかの来年用のカレンダーと手帳に、早くも1年分の予定とシールをペタペタと貼りまくっている。予定の大半は妻の家族やネコの誕生日と私の誕生日。メモは「ハッピーセット、ケーキ」だ。もうそのように妻が決めている通り、これらの誕生日にはハッピーセットとケーキを買って、妻が喜ぶようにしたいと思っている。

12月初旬、何ヶ月ぶりかの買い物にも行くことができた。ユニクロとネコグッズがたくさん売ってある近所の雑貨屋だ。ユニクロに行った時は、近くのホテルに飾ってあった小さなクリスマスイルミネーションの前で写真を取ってあげることもできた。雑貨屋の方は、チラシにネコグッズ特集が写っていたのを目ざとく妻が見つけ、私の目につくところにそれが置いてあったので、「これ、買いに行くか?」と尋ねるとそそくさと洋服を着替えてすっかりお出かけモードになっていたので、行くことができた。妻はそこでネコの髪飾りと箸、文房具などを買い、とても満足そうな写真をお店の前で撮ることもできた。帰り道、雨が降ってきてしまい、歩いて行っていたので妻は疲れて寒かったのか「タクシー!タクシー!」と言いながら泣き喚いてしまい、私はもうすぐそこが家だったのと、タクシー券を忘れて出かけていたこともあり、「もうすぐそこが家だから」と言ってタクシーを呼ばなかったのだが、さすがにそれから数日間は妻は幻想の中へと戻ってしまい、二重バツの調子の悪い日が続いてしまった。徒歩往復1時間以上などの長距離を歩かせて疲れさせると良くないようだ。

そして昨日12月24日、クリスマス・イブで妻が飼っていたネコの誕生日。前々から妻が手帳やカレンダーに書いていたハッピーセットを食べにお昼マックに連れて行った。メニューはもちろんマックナゲット・ハッピーセットと超グラコロ、それにシャカチキだ。その後は、そのまま予約していたケーキを受け取りに一緒にショッピングセンターにも行くことができた。このケーキは事前に妻が選んで決めていた“ネコのカップケーキ・ペア”が早くも12月6日の時点で予約完売していたので、私が勝手に選んだ“キティとミミィの仲良しクリスマス”という何年か前にも買ったものと同じものだが、少しだけ改良されたようで、今年のものにはバウムクーヘンでできた高台の上におうちが建っていた。買い物の途中、イートインのようなところでアイスコーヒーを飲ませたり、私がクリスマスチキンなどを買っている間は設置してあるソファに座らせて待たせたりして、妻が疲れすぎないよう注意していたのが良かったのか、それとも妻の調子が上向きなためかはわからないが、家に帰り着くまで妻はハッピーセットのおもちゃとキティーのケーキを大事そうに持って上機嫌だった。

家にたどり着くと、私の方はなんだかかなり疲れていたしお腹もいっぱいだったのだが、妻は「チキンとケーキを食べていいよ」という。正直お腹いっぱいだし、普通なら「日が暮れてからにしようよ」などというところだが、我が家の場合は、いつ何時妻の調子が崩れるかわからない。そうなったらチキンもケーキもへったくれもないので「妻が調子の良いうちに食べさせてあげなきゃ」と思って、すぐクリスマス・ディナーの用意をして食べさせてあげた。メニューは、クリスマスチキン・オードブルとサンドウィッチ、シャンメリー、クリスマスケーキにコーヒーだ。クリスマスチキンはくの字型のレッグ一本ずつで、ポテトと卵サラダがついているもの。サンドウィッチはクリスマス向けに売られていた家族用のものだ。なんと驚いたことに、妻はみるみるうちにチキンを平らげ、サンドウィッチ2つとタマポテサラダも食べてしまった。そしていよいよクリスマスケーキ。キティとミミィの仲良しクリスマスケーキは18センチで二人で食べるには大きすぎるのだが、二日間で食べきれるように4つ切りにして出した。もちろん妻はキティの大きな顔付の部分で私のはミミィの部分だ。それにしてもキティの相手の男の子ネコはダニエルではなかったか?などと思いながら、私は大きなケーキを食べるのに私は苦戦していて、どうしても甘すぎて食べられず少し残して何時間後に改めて残りを食べたが、妻は多少苦しそうにしながらもその場で完食した。妻に「〇〇のお誕生日ケーキだから頑張って全部食べたんだろ?」と尋ねると「うん」と言っていた。

お風呂に入った後は家でWii Uカラオケクリスマスソング特集だ。これも前々から妻に「クリスマスはカラオケやっていいよ」と言っていたもので、妻は楽しみにしていたようだ。歌を入れると、テレビに映る歌詞を見ながら妻は一生懸命歌っていた。歌詞を見ながら意味を理解しつつ歌うなどという高度なことは、妄想状態では絶対にできないことなので、やはりかなり調子が良いのだと思う。

2時間ほどカラオケをし、疲れたのか妻は氷枕を用意していそいそと寝室に行って寝始めた。穏やかな顔でニコニコしていたので「今日は色々できて良かったね」というと、「うん」と言っていた。

こんなに楽しい、穏やかなクリスマスは数年ぶりかもしれない。そう思いながら私もなんだか付かれていたので夜10時半ごろだったが、私も就寝した。

ちなみに、上で色々と何不自由ない感じでお金のかかるようなイベントを記載しているが、実は経済的な面では我が家は生活保護世帯になってしまった。10月に障害基礎年金が入金されていなかった時点で市役所に相談に行ったところ、もう市役所の係りの方たちが生活保護が既定路線であるかのように手続きを進めてくださり、10月後半日割りと11月は丸々保護費が支給され、12月は市の方で計算した基準額から障害基礎年金と特別障害手当を控除した金額が支給された。来年1月からも同様の扱いだ。一度、12月に8月分から遡って障害基礎年金が支給されることが決定した時点で、障害基礎年金が2回分もあればそれだけでやっていけるかと思い、生活保護の打ち切りを市の担当者の方に申し出たのだが、「障害基礎年金と障害特別手当を合算した金額が市の基準額に満たないので、生活保護は継続して受給してください」とのこと。その代わり、遡って支給された障害基礎年金2回分(都合4ヶ月分)は全額返納となった。この生活保護という制度は恒久的に利用するものではなく、市の基準額を超えるように各自自助努力をというように言われている。現状、早々に市の基準額を収入が超えるようなことはなかなか見込めないのだが、それでも医療費などは生活保護の分とは別に実費支給となるので、これまで躊躇してなかなか行けなかった精神科以外の病院にも行けるようになったことになる。妻は何度かブログにも書いた通り、日光浴が不足しているため歯がボロボロで、歯科医にもかかる必要があるし、去年一昨年に妻を歯科医に連れて行った際にも、私の歯は診察してもらっていない。正直何本か虫歯があることは知っているので、これも行けそうだ。また2018年の1月に激痛とともに急に上がらなくなった私の左肩も全く医者に診てもらっていないので、これも治しておいたほうがいいかもしれない。体が資本なので。

このようなわけで、なんとか2018年を笑顔で越せそうな感じになってきている。妻の療養生活が始まってから、はや8年がすぎたが、2019年、2020年と年を過ごすに連れ、妻の状態が良くなって行ってくれないかと願うばかりだ。

このブログに来てくださる方へ

今年ももう残りわずかですね。この1年、このブログをまたたくさんの方に読んでいただき、たくさんのコメントをいただきました。その一つ一つが、とても励みになっています。ありがとうございます。

2019年が皆様にとって良い年になりますように。

良いお年を。

schizo & phrenia

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コメント

  1. まさと より:

    朝の十時に、明けましておめでとう、って言う。モノトーンを身にまとい、あの娘はポケットに手を入れている。今さっき初めて料理を持って来てくれたところ。ガムを噛むのをやめて、タバコを吸って欲しいと思う。あの娘はいつも落ち着き控えめなのに、どこかで必ずひとつカッコをつけないと気が済まない。どうしても、やってしまう、気取り屋さん。確実にひとりでいる時も他人の目を意識する事が出来る、と本当に自慢した。よそ見をしながら、あまり誰とも仲良くしたくないって言う。当たり前の繋がりが分からない、子供の言葉にも心千々に乱れ、弱さを強く認めていて、お祭り騒ぎが大嫌い。振り向いたりしないで外に出て行く。帰ってお風呂に入るんだってさ。何かが始まりそうで、今日一日中夢を見ている、あの娘におせっかい。夢に出て来る人たちによろしく。覚えていないでしょう。

    • schizo より:

      まさとさん
      新年おめでとうございます。コメントいただきありがとうございました。
      まさとさんのお家にはどなたかが介助のサポートに来てくださっているのでしょうか?
      この文章はその方のことでしょうか?詳細はわかりませんが、その方の描写がとでもわかりやすく上手ですね。
      まさとさんのコメントはいつもピカソの絵のように天才肌でなかなか簡単にはわからないものが多いですが
      どれもとても綺麗な情景が思い浮かぶ素晴らしいものだとおもいます。

      • まさと より:

        もうずいぶん前、遠い日、妻が私のアパートの部屋に訪ねて来ました。まだ妻ではないしどう呼べばいいのか、あの娘におせっかい、という言葉からのイメージの拙い文章です。誰か話しかけて欲しいと呟く、言うべきだったのに言わなかった幾つもの事柄について、手を替え品を替え、なるべく正確に、出来る間は一人で介護をするつもりです。それほど寂しくはない。