妻とサッカーW杯

初めて妻と一緒に経験したサッカーW杯は2002年の日韓大会だ。

当時は、私が一人で暮らしていたアパートから、二人で住めるようなマンションに引っ越したばかりで良く覚えている。まだテレビも私が一人暮らしのときに使っていた14型ブラウン管の小さいもので、それで二人でW杯の試合を見ながら盛り上がっていたものだ。

日本のチームや選手の応援はもちろん、日韓開催なので試合時間的にも観れる試合が多く、スウェーデンやドイツ、オーストラリア、フランス、ポルトガルにスペイン、アルゼンチンなど、いろんな国の選手を見ては、二人で色々話していたのを覚えている。

妻の病気は私と結婚してからは、2003年に一度目を再発している。その時妻は「いつ治るか、もしかしたら治らないかもしれないから」と言って、籍を抜くよう言って聞かなかったので、妻とは一度離婚しているのだが、2006年のW杯ドイツ大会の時も変わらず私は妻にケータイを渡し、妻の実家に月に1度か2度お見舞いに行っていたし、ケータイやメールでやり取りをしていたので2006年大会もW杯の時期には直接ではないものの、色々と話をしていたと思う。

その後、うろ覚えだが、2007年に再び私の家に「治ったから」と言って戻ってきて、また一緒に住み始め、2008年の結婚式を経て、再び2010年のW杯を二人で見るはずだった。ところが、グループリーグが始まるやいなや、妻はまたもや病気を再発してしまい、そのままゴタゴタしながら入院になってしまったのでその年はW杯どころではなかった。妻が元気であれば、二人で盛り上がれるはずだったのだが、妻が入院してしまったので、私は来る日も来る日も仕事帰りに病院にお見舞いに行っていたので、実際試合を見る時間もなかった。

その後は、このブログを書き始めた2012年からの経緯の通りで、2014年の記録をみると、新年の挨拶以外には投稿は一つだけで、W杯のことについては一言も記録がないので、やはりそれどころではなかったのだろう。私も全然覚えてないのだ。

今年、またW杯の年が巡ってきている。私はベッドで寝ている妻に、「今日は日本代表がコロンビアに勝ったよ」とか「今日はセネガルというアフリカのチームと引き分けたよ」と教えてあげている。妻に一緒に試合をみるか尋ねても、夕方にはベッドに行ってしまうので、まだ妻は試合を観ていない。それでも「日本の選手がセネガルの選手に肘鉄を食らって鼻血を出してたけど、日本選手はわざとそんな人を叩いたりしないんだよ。わざとコケたりもしないよ」というと、口元だけニコッとしていた。「そういえばドイツの選手も真面目だからそんなことしないね」と私がいうと、同じように口元だけニコッとしていた。妻はドイツも好きなのだ。こんな状態だが、今年のW杯を楽しんでくれているだろうか・・・。少しでも記憶に残ってくれればいいなと思っている。

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コメント

  1. みきもん より:

    こんにちは。久しぶりのコメントです。
    奥様と籍を抜かれたとのこと、我がことのように胸が痛みました。
    私には恋愛妄想があり、男性が近くにいると、その人に恋をしてしまい、
    実際には恋愛には発展していないのにもかかわらず、離婚を申し出たりしていたのですが、主人は一切籍を抜くことなく、現在に至ります。
    そんな主人に頭は上がらず、今はしがみついてでもこの人と共にいたいと思えます。
    妄想に翻弄されていた自分が情けなく感じます。
    W杯奥様と観戦できるといいですね。

    • schizo より:

      みきもんさん
      コメントありがとうございます。お久しぶりです。
      私と結婚後1度目の再発の時、妻はいつ治るかわからないから、迷惑をかけたくないから、とどうしても籍を抜くという意志が硬く、私も妻の考えを尊重しようと籍を抜きましたが、かなり辛い決断でした。その数年後に戻ってきて、再度入籍していますが、今回の再発(8年前)の時には、妻の意志表示はなく、というか意志を示すこともできない状態のまま闘病生活を送っています。今思い出せば、最初の再発で妻が離婚を申し出たときは成人の女性らしい意志の示し方だったのですが、今回はまるで幼児のようで、もう私を頼るより他はありえない感じです。
      それにしても、恋愛妄想というものがあるんですね。妄想というのは、現実ではないにも関わらず、実生活に強く影響を与え、時には壊滅的ダメージを与えたりすることもあるので、恐ろしいものですね。みきもんさんの旦那様は、みきもんさんのことを愛していらっしゃるのだと思います。恐らく妄想しやすいようなみきもんさんのこともよくわかっていらっしゃって、その上でなおみきもんさんと一緒に居たいと思っていらっしゃるのでしょうね。素晴らしい方だと思います。
      今はワールドカップ期間中。みきもんさんもご家族と楽しい時間をどうかお過ごしください。

  2. まさと より:

    毎日の面会は春になるまで。時間を決めて用意を整え、そこから一歩踏み出した時の、廊下の突き当たりの窓から差し込む夕焼けは今でも鮮やかで、それと病室の死なずに済んだ妻が歌う赤とんぼと。目の前の掲示板に催しのお知らせと。めまいがしても足を取られたりしませんように。

    • schizo より:

      まさとさん
      お久しぶりです。随分返信が遅れましてすみません。
      この間、かなり私自身落ち込んでいたこともあって、なかなかパソコンに向かえずにいました。いつも情景が目に浮かぶような素敵なコメントありがとうございます。とても叙情的ですよね。一つ一つがとても美しいもののように感じます。