暖かい春になるにつれて妻の症状が随分良くなると前回の投稿に書いたが、この何年かを振り返って気づいたことがあったので、推測も交えて書いておきたいと思う。
妻の病状は「1年かけて変動する大きな波」と「数日間で変動する小さな波」で構成されているように見える。
「1年かけて変動する大きな波」は、春から夏にかけて最高潮に達し、秋から冬にかけて深い谷間に落ちて行く。
「数日間で変動する小さな波」は、「1年かけて変動する大きな波」の線を構成する微振動のようなものと言えるかもしれないが、それでも介助・介護する側にとってはかなり大きく見える上下動だ。上が調子の良い状態、下が調子が悪い状態だ。
絵で表すとこんな感じだろうか:
こういう感じで、春から夏にかけては、「日常の現実」が「妄想や幻覚」などよりも支配的になり、逆に秋から冬にかけては「妄想や幻覚」などの精神疾患的な症状が「日常の現実」に対して、より支配的になる。
「数日かけて変動する小さな波」は、もちろん年間で見た場合の最高潮に至るまでの間にも、そこから深い谷間へ落ちるまでの間にも存在するのだが、外側から見える現象としては、最高潮付近での小さな波の下部分は「比較的軽め」に感じるのだが、年間で見た場合の谷底付近での小さな波の下部分は「壊滅的」とも言えるほど重めだ。
今は、妻の調子がどんどん上向いているので、小さな波の下部分の日があっても、例えば「朝から調子がよかったが、夕方一次的に妄想が出て少し妄想の人物と喧嘩をしたものの、短時間休むと妄想が消えた」程度で済んでいる感じだ。また、妄想・幻覚の中には大好きだったネコ(既に他界している)のものもあり、その猫と楽しく遊ぶというものもある。おそらくこれから夏にかけては“基本的には調子が良く、一次的に精神疾患的症状が現れる”ことが多いのではないかと思われる。これが秋から冬にかけての「年間を通じての停滞期・下降期」だと逆に“基本的に調子が悪く、ごく短時間のみ日常との接点が生じる”程度になってしまう。
もしこれが本当に当てはまるとしたら、介助・介護する側(うちの場合では私)も、このようなことを念頭において置くことで、少し心理的な負担が減るかもしれない。
もちろんこれはうちの妻の場合なので、患者さんそれぞれの事情によって異なると思うから一概には言えなないし、こういう例もあるよ、ということに過ぎないのだが。
ここからは私の推測だが、うちの妻の場合、特に成人するまでの期間のうちで、特に秋から冬にかけて、トラウマになるような精神的な苦痛や心的外傷などを受けたことがある、もしくはそのようなことが多かったのではないか、と思う。こんなことを本人に尋ねても、思い出すのも嫌なことだろうし、基本的に幼児状態に退行しているので、しっかりと答えることもできないので、きちんと確認はできないのだが、そのような可能性は大いにあるのではないかと思う。
もしくは単純に秋から冬にかけての寒い時期が嫌いだ、とか、秋から冬にかけては家族の誕生日などお祝い事が少ないから、などの理由なのか、本当のところは不明だ。
私にできることとしては、この調子の良い期間に、できるだけたくさんの良い思い出を作ることくらいなので、今の内にそのようなことがたくさんできるよう、工夫して行きたいと思う。
コメント
症状の年単位の波について、私見ですが述べさせていただきます。あくまで私見ですが、参考になれば幸いです。
慢性化の統合失調症の患者さんは、因果関係はともかくドーパミンが下がっているという病態の仮説(ドーパミン仮説)があり、つまり慢性化は神経伝達物質が不足していることが考えられます。
健常人でも季節の変わり目は体の調子を崩しやすいですが、通常は体は慣れていきますよね。
神経伝達物質であるドーパミンが不足することにより、神経の変化による体の変化が季節に追いついていないのではないかなあと個人的に思っています。(その結果、思考など高次機能に使われるドーパミンも減少?)
体が寒さになれるためには、まず司令塔の神経が変化する必要があるのではないでしょうか(例えば、起立した時に血管が自律的に収縮することで血圧を保とうとするような自律神経による血圧調整のように)。
よって看病する人の心構えに加え、奥様の寒さを和らげてあげて、少しでも急激な温度変化を避けてあげることが役に立つかもしれないなと思いまして、述べさせて頂きました。
参考までに。
るろうにさん
こんにちは。コメントいただきありがとうございます。
おっしゃる通り、統合失調症患者は、健常な人と比べると季節の変わり目に神経伝達の面が追いつかない、ということはあるのかもしれませんね。妻は冬の時期に特に症状が一番ひどくなりますが、夏の暑い時期にも通常の人よりも我慢強さがなくなり、妄想が始まったりしますので、できるだけ暑さ寒さも含め、ストレスを弱めてあげるような気遣いが必要かもしれません。