年末年始の状態(2018年1月)

昨年末から新年にかけてもずっと妻の調子は悪く、年末年始は私自身もかなり精神的にまいってしまってほとんどうつ状態だった。

もうなんだかほとんどやる気が起きないのだ。本来はいろんなものを作ったり色々工夫したりするのが私は好きなのだが、全く気力がなかった。優等生的な明るい雰囲気の幸せいっぱいの正統派テレビ番組などを見ても「うちは違うんだよコンニャロ」などと思ってしまい、気分が塞ぎ込むばかりなので、お笑いとか馬鹿なことばかりやっているくだらない内容のものばかり見ていたところ、たまに爆笑できたりして、少しは気が紛れた。

一見ナンセンスなものにもそれなりに存在価値があるのだと改めて認識した。子供の頃、社会科で「白河の清きに魚の住みかねて元の濁りの田沼恋しき」という句が出てきたのを思い出した。つくづく綺麗事ばかりでは世の中は成り立たないのだと思う。少しアウトサイダーなものや、一見意味がなさそうに見えるもの、無駄なものなども人間には必要なのだろう。

2010年の6月の妻の今回の統合失調症再発以降、もうこのような生活が7年半になっている。仮に寿命が70歳だとすると、もう10分の1は妻は病気の状態で満足に普通の社会生活が送れていないことになる。私も同じく10分の1の時間を介護に費やしている。この事実をどう捉えるか。ここが大事だと思う。年末年始には、まさにこれを“世にも不幸な状態”だと捉えていて、世の中の他の人たちが、元気に能力を発揮し世の中に役立ちつつ、子供もあり何不自由ない幸せな人生を謳歌している中、なぜうちはこのような病気にまみれて子もなく無駄な時間を過ごしているのかと考え、気持ち的に不幸のどん底にいたのだ。

しかし年が明け、半月ほど過ごしてみると、少し気持ちが変わってきた。いろんなニュースなどを見ていると、実際のところ、うちはそんなに不幸ではないのかもしれないと思う節もある。なぜこんなに世の中では、親が子を殺し、子が親を殺し、路上で他人に刺されたり、勤務先や学校などで悪質ないじめを受けたりしているのか。なんで力士が横綱に凶器で殴られて流血しているのか。集団で?そしてそれを組織ぐるみで隠蔽しようとするなど、もう品格も何もあったもんじゃない。交通事故の死者数も毎年異常だ。高速道路で煽って事故を起こすとか、正気の沙汰とは思えない。それ以外にも、なぜこんなにも世の中には人々を病気にするような不健康な食品や装置の数々が溢れているのか。どうして政府の経済対策は景気をよくするどころか人々の肌感覚では逆に悪化しているとまで感じさせるのだろうか。それになんだこの自殺者の数は・・・。そんなにも絶望が蔓延しているのか。これは世の中がそんなに幸せな場所ではなく、むしろ不幸そのものだと捉えたほうが正しいのではないかとさえ思う。

考え方によっては、うちのようにある程度社会から隔絶された今の環境というのは、そこまで不幸ではないのかもしれない。少なくとも子に殺される心配もなく、殺してしまうかもしれない子もおらず、勤務先でいじめられることもなく、免許はあるがいまはクルマも運転しないので、歩行者としてはねられる可能性があるとしても、高速道路での妙な意地の張り合いに巻き込まれることもない。

確かにうちでは、年末年始にも妻は一見意味のないことを延々と独り言で喋ったり叫んだり泣いたり、たまに笑いこけたりして初詣にもいけなかったし、夜もまともに寝れないし、食事だって一日二食がほぼデフォルトで、その少ない食事をさらに妻はほとんど残したりする。かと思えばコーンポタージュ連続飲みやベビーチーズ一気食いをしたりもするのだが。何れにしても偏っているので、とにかく妻に栄養が行き届くようにと私はかなり必死だ。風呂に水がない状態でボイラーを追い焚きにして焦げ臭い煙がモクモクしていることも未だにある。

でもこうやって世の中の数々の不幸に比べれば、うちでは意味不明なものが多くを占めるものの、笑い声も多く聞こえるという意味では、そこまで深刻ではないとも言えるのかもしれない。何しろまだ生きている。

まあ、正直生活のリズムがめちゃくちゃで、栄養も完璧に取れているとは言い難いので寿命は短くなるかもしれないが、2018年も少しでも体に良いものを摂り、日々の生活から笑いがある程度は聞こえるように心がけ、世の中に必要ないかもしれない無駄なものをちょこちょことでも作っていけるよう頑張りたいと思う。

2018年が皆様にとって良い年になりますように。

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コメント

  1. るんるん より:

    お疲れ様です。おっしゃるとおり、日本の社会って聞こえの良い正論ばかりがまかりとおり、それと違う現実を目の当たりにしても全くスルー、「無いこと」にしてしまいます。大人たちが長年このようなポーズだけの考えで暮らしてきた結果、世間の至る所で歪みが生じ、人情味の無い、乾ききった不幸な社会になっていると思います。
    お体ご自愛下さいませ。

  2. くるくる より:

    昨年、40代の妹が統合失調症になり、ときどきのぞかせてもらっているアラフィフ主婦です。
    奥様への介護、本当に頭がさがります。
    どんな人間もきっと 生まれてきたからには何らかの役目を持っているのだと思います。
    寿命が50年なのか100年なのかわかりませんが、その一人のあっという間の人生の中で、それぞれ与えられた役割というのがあって、ひたすらにそれを果たすために生きている・生かされているのではないでしょうか。
    あなたの場合は、それが病んだ奥様との生活だったのかもしれません。
    そして同じように 病んだ家族を持つ人たちに励ましを与え ときに深く考えさせてくれるブログを作ってくれているのもあなたの役目なんだと思います。
    ありがとうございます。
    素晴らしい文章力に ついついひきこまれます。
    ときどき 自分の心の方が 風邪をひいたりインフルエンザのようになってしまうこともあるかもしれませんが、どうか 栄養と休養をしっかりとって、ご自分の心と体のバランスが崩れないようにお気をつけください。

  3. schizo より:

    るんるんさん
    コメントありがとうございます。
    本音と建前というところでしょうか。何か日本の社会全体が“建前”を隠れ蓑にして真実に目をつぶり、うわべだけ整えて実は影では苦労していても表には出さない、出すのは恥だ、ぐらいの感じで生きている人たちが少なからずいて、そこから生じた歪みが時たま噴出する、というようなことが繰り返されているような気がします。都合の悪い事実が表沙汰になったら異常なもの、イレギュラーなものということでまさに「なかったこと」のようにしていますよね。もっと社会全体が風通しが良く、なんでも言いあえて、弱音や見せたくない部分を少し見せたぐらいでも叩かないような、暖かい社会に変わって行ってくれればいいなと思います。今は弱い部分を徹底的に叩く風潮があって、そのせいもあって誰も彼もが過剰に“建前”で生きているような気がします。

  4. schizo より:

    くるくるさん
    コメントいただきありがとうございます。妹さんのお世話、大変かと思いますがご自愛なさりつつ頑張ってください。“役目”という言葉、久しぶりに耳にしました。今よりもっと若い頃、私も「自分には何かの役目があるに違いない」とある目的を達成すべく頑張っていました。しかし最近は妻の介護にすっかり疲れ果て、全く神も仏もないぐらいの勢いでやさぐれて暮らしていました。言われてみれば、これが今の私の役目なのかもしれませんね。実は人知を超えたなんらかの力によって物事が変わるだとか、妻が守られたことがあるなど、色々と経験したこともあります。そして時々は、そんな何かに強く加護されたかのような妻をみて「こんなに加護を受けている妻の世話をしている私が病気になったり死んだりするはずはない」などと変に高をくくったりすることもあります。これも単なる思い込みにすぎないかもしれませんが・・・。
    文章力があるなどとお褒めいただきありがとうございます。文章を褒めていただいたのは小学生の時以来です。自分ではそんなことは露ほども思っていませんが、私が何か書くことで、何かのお役に立つことがあるのであれば、これからもあまりやさぐれずに、細々と頑張りたいと思います。

  5. より:

    時々コメント残しているものです。
    更新があると嬉しくなり、記事を読むと「あぁ、私以外にも辛く、でも頑張っている方がいるんだ」となにか勝手に同志の様な、そんな気持ちになり活力を頂いています。
    年末年始、世の中が幸せで溢れかえっているその片隅で、病気の家族と過ごし、自分自身も病名がつくのではないかとなると、他人様への妬み嫉み僻みの毎日です。なので主様の気持ちが手に取るように分かりました。
    なんでウチだけ…。そんな気持ちが渦巻き何も考えずに笑える番組をチョイスしてしまいます。
    こちら例年通り1月に入院となり、いまは離れているので私自身の冬休みと捉えていますが来月には退院なので今から怯えてしまいます…。

  6. schizo より:

    愛さん
    コメントいただきありがとうございます。ブログを見て気持ちが楽になってくれる方がいるということを知るだけで、こちらも勇気付けられます。冬休みは十分に休まれましたか?1月にコメントをいただいたのに、妻の症状が冬場はひどいことが多く私自身も鬱々と過ごしていたので、なかなかお返事できずにおりました。2月に入りましたが、愛さんがのんびりとした気持ちで過ごしていらっしゃることを願っています。私自身もついつい“普通の人生だったらどんなにかよかっただろう”などと考えて、鬱々としがちではありますが、そんなことを考えても始まらないので、隣にいて幼児のように過ごしている妻とできるだけ楽しく暮らせるよう頑張りたいと思います。