年末以来、妻の調子が6年前のような状態に逆戻りしてから3ヶ月以上が経過した。
ほぼ状態が逆戻りしたように見えていたので、また6年間以上かけて、ゆっくりと状態を改善させるしかないのかな、と半ば気が重くなりかけていたのだが、3月末くらいから週に2日ほど低調ではあるが話ができるような状態の日があるようになってきて、今はそれが数週間続いている。その前は、ほぼ毎日二重バツ(×)で、ほんの数分から數十分話ができるタイミングがあったものの、すぐ終わってしまって元の妄想・幻覚状態に入ってしまうので、かなり私としても辛かった。
3月末あたりに、丸一日調子がいい日があって、その日に妻は久しぶりによく買っている「サン宝石」という通販のところでお守りなどを注文していた。私は妻が何を注文したのかも内知らずに、すぐに郵便局に注文ハガキを出しに行ったのだが、しばらくして届いた購入品の中にフクロウのお守りが2つ入っていた。妻はそのうちの一つを私に渡してきた。
幸運と金運のお守りだそうだ。妻は調子が悪い時には私にも「ザキ」とか「しねー」とか言ってはいたものの、こうして私の分までお守りを買ってくれていたのだ。そうとは知らず、調子が悪い妻に対して“とんでもないやつだ”とばかり思っていた自分が情けない。
統合失調症の人を介護するというのは、本当に難しいなと感じる。6年以上経って、まだこのザマなのだなと自分で思うほどだ。妄想・幻覚に囚われている状態の妻は、荒くれ者で、怒りっぽく、ヒステリックで、かつウルサイ。しかもその状態も2日とか3日とか、長いということもあり、体力的にも疲れてくるので、ついつい見える表面的な姿だけに注目してしまいがちで、妻の本当の姿というか、穏やかで、優しく、思いやりがあって、物静かというもう一方の面を忘れがちになる。もちろん私が最初に目にした妻は後者の方で、それが通常の状態なのであって、真逆の症状が出ているときは、必死に妄想・幻覚と戦っている時なのだと思う。妻も大変なのだ。
頂いたコメントで、統合失調症と共存しておられる方の体験談を読むことができ、その方は妄想・幻覚と喧嘩して、自分の方が強く(なっ)て、ついには妄想・幻覚に勝利し、今はたまに幻覚の相手を呼び出したりできるほどになっておられるということだった。妻はまだまだ、妄想・幻覚の相手(何人もいる)を怖がり、必死になって抵抗し、絶叫しながら戦っていて、全然勝利してない。でも妻にも性格は強い部分があり、諦めたり、負けたりする気はさらさら無いようなので、まだ見込みはあるのだと信じたい。
そんな風に、妻が戦っている時に、私が「ウルサイ!」「黙れ」とか言ったり、妻に対して辛く当たったりするのでは、一緒に戦う仲間としては失格だと思った。私には妻の見ている幻覚などは見えないので、一緒には戦えないにせよ、もっと伴走者としてサポートできるように努力したい。いつか本当に勝つ日が来たら、次の新しい次元に移れるのかもしれない。
3月末ごろ、偶然 NINTENDO WiiU の「春カラ」というのを見つけた。通常金額で本来の日数+α付いてくるというものだ。それをたまたま調子が良かった妻に見せると、3ヶ月分2000円という、いちばん長いのを指差して来た。。。まるでネコのようだ。猫も家の中で一番いい場所に座ったり、一番いいものを欲しがるが、妻もまさにそれだ。他にも、マックのクーポンでも(以下略)。
今日は妻がずっとやっていたぬりえが完成したらしく、新しいぬりえを欲しがったので、誕生日に買ってあげるよと伝えていた「幸せの花を探す旅」というぬりえを注文した。これは猫のゴールドが恋人のマリーにプレゼントするための幸せの花を探して旅に出る、という内容のぬりえのようだ。ぬりえのハッピーエンドが、妻の幸せを探す旅のハッピーエンドに繋がってくれたらいいなと思う。
コメント
状態がよくなって、よかったですね!
うちも同じような状態の娘がいるので、奥様の落ち込みが短い期間で済んだということがすごくうれしく、また希望をもらえました。
可愛いストーリーのぬり絵って素敵ですね。きっとお2人を幸せにしてくれますよ。
「幸せの花~」ではないのですが、僕の妻は四葉のクローバー見つける才能(?)がありまして、クローバーの群生の中からいとも簡単に見つけ出して僕にプレゼントしてくれます。
病気のことで気持ちが落ち込んでいる時でも、小さな四葉のクローバーがしばし2人を幸せな気持ちにしてくれます。暖かい日に外に出て幸運をもたらすと言う四葉のクローバーを探しに行くのも良い気分転換になります。どうぞお試し下さい。
はじめまして。
つい最近このブログに出会い、全部読ませていただきました。我が家と共通する点が多々あり、感情移入して何度か泣いてしまいました。schizoさんの優しさ、強さ、聡明さに敬意を表さずにいられません。
妻は5年前に発症しました。「隣の人が私の悪口を言ってくる」と言い出したのが始まりでした。まさか幻聴だとは思わず、私も耳を澄まして隣の様子をうかがいますが、当然何も聞こえません。「気のせいだよ」と言って真剣に取り合いませんでした。そんなやり取りが半年ほど続き、さすがにうんざりして、「何も聞こえないよ!いい加減にしてよ!」と怒ってしまいました。多分それが引き金となり、程なくして妻は完全におかしくなりました。
真夜中に裸足で部屋を飛び出し、「ここに犯人がいるの!」などと言いながら同じマンションの知らない人の玄関をガチャガチャやりだしたので、何とか車にのせ、朝まで近所をグルグル回り、スマホで適当に見つけた精神病院に駆け込みました。その病院は割とまともな病院だったようで(schizoさんのブログや、他の方々のコメントを見て、とんでもない病院も少なくないことを知り、今更ながらぞっとしています。運が良かった…)、3ヶ月間入院し、何とか××状態から△状態まで回復し、退院後は、行ったり来たりを繰り返しながら徐々に良くなっていき、現在は◎状態が3年程続いています。幻聴は消え、家事も一通りできるようになりました。
妻は発症から現在に至るまでのことを、ほぼ覚えているようです。元看護師だったこともあってか、入院して数日後には自分が病気になったことを認識し、幻聴の言うことは無視しようと思ったそうです。私と会話できるまでには1ヶ月以上かかりましたが、後に、「一日も欠かさずお見舞いに来てくれて嬉しかった。ありがとう。」と言われました。schizoさんの奥様も、自分の為に必死になって看病してくれていることを、絶対に理解しておられると思います。
今思い返すと、妻の状態が目に見えて改善し始めたのは、前回の記事にあった、『太陽的な対応』を、私が取るようになってからのような気がします。危険な事以外は極力見守り、否定的な事は言わない。何かにチャレンジしたら褒めまくる。自分の為に何かしてくれ(ようとし)たら、大げさに喜ぶ(実際にメチャクチャ嬉しい)。などです。不思議なもので、最初はそれらの対応を意識的にやっていたのですが、徐々にそれが当たり前になっていき、最終的に妻が何をやっても可愛くて仕方なくなり、やたらテンションが上がってました。私の方も若干壊れかけていたのかもしれません(笑)。だいぶ精神年齢が若返ってしまった妻ですが、絶対にお嫁に行かない娘ができたみたいで、毎日楽しく過ごしています。もちろん発症前に戻ることをあきらめた訳ではありませんが。
色々な症状の方がおり、あまり無責任なことは言えませんが、我が家の場合、『太陽的な対応』は正しかった、というよりも、回復のための絶対条件だったと思っています。私自身が楽になるためにも。
毎日、終わりの見えない戦いで、本当にしんどいと思います。どうかお身体を大事にして下さい。一日も早く、お二人に平穏で幸せな日々が訪れるよう、心から祈っております。
こんにちは。奥様の具合が少し良くなられたみたいで、読んでいるこちらまで、元気をもらいました。
私は今、陰性症状で頭が重くなり具合が悪くなる日が1週間に1度以上あり、酷い状態でかなりしんどいです。
介護する主人もかなり参っています。
奥様の塗り絵が完成されたとのこと、とても羨ましく思いました。私も少し塗り絵をするのですが、どの色をどの様に塗るか考えるだけで時間が過ぎ、なかなかページがはかどりません。新しい塗り絵がまた奥様を楽しませることと思います。素敵なプレゼントですね。
miaさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
同じような状況の娘さんがいらっしゃるとのこと。本当に大変ですけれども、頑張ってください。季節も良くなってきましたね。たくさん娘さんと良い思い出が作れますように。
Mr. Eさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
幸せの四つ葉のクローバーを探す才能ですか。奥さんすごいですね。
妻はなぜか外出したがらず、日々部屋の中でぬりえをしていますが、いつか幸運の四つ葉のクローバー、探しに行きたいと思います。ちなみに、ストラップで四つ葉のクローバーのプリザーブされたものがプラスチックの中に入っているものは、妻にプレゼントしてみました。
はるさん
初めまして。コメントありがとうございました。
5年もの間の闘病生活、本当に大変だったことと思います。そして今、精神年齢が若返ったとはいえ、お二人でとても楽しそうに暮らしていらっしゃることを知り、すごく嬉しく思いました。うちの場合も、この闘病生活の始まりは、おかしくなりかけていた妻に、否定的かつ感情的に対応してしまったことが決定的な引き金になってしまったのではないかと考えています。どうしても、これまでまともだった人が、通常ではありえないことを言い続けることが理解できなくて、そのような対応をしがちだと思うのですが、病者にとっては「信頼している人間にわかってもらえない」というのがいちばんつらいことなのではないかな、と今となっては思います。太陽的な対応、素晴らしいですね。うちでは、一度実家に戻ったこともあって、妻にルールを理解させようとしたり、ついついしがちになってしまっていましたが、また太陽的対応を続ける中で、特にこの4月に入ってからは、みるみる妻の状態も良くなっているように感じます。「絶対にお嫁に行かない娘」ですか。確かにそうかもしれませんね(笑)。妻も、相変わらず、幼子のような精神年齢で、日々ぬりえをしていますが、毎日を二人で楽しく過ごせるよう、これからも頑張っていきたいと思います。はるさんも奥様とこれからもお幸せに!
みきもんさん
コメントありがとうございます。お加減はいかがですか?
しんどい時は、十分に休んでくださいね。ご主人も参っておられるということでかなり心配ですが、改善されることをお祈りしています。
妻のぬりえは、今新しいのをやっていますが、好きなページを適当にめくりながら、例えば先に猫だけ塗ったり、花だけ塗りながらページをめくっていったり。かなり自由にやっているようです。花はほとんど黄色ですし、いってしまえば何の工夫(?)もありませんが、単純に黄色が好きなのかもしれません。黄色は幸せのいろという人もいますし、それを信じてゲンを担いでいるのかもしれません。どの色をどのように塗るか考える時間も、ぬりえをする中ではいちばん楽しいところかもしれないですね。もちろん完成したものを眺めるのもいいですが。みきもんさんの状態が少しでも良くなるよう、陰ながら応援しています。
こんばんわ
私も統合失調症と診断され10年が経とうとしてます
私も発病から2~3年は子供に返りました 暖かい家族に支えながら
その時期は本当に幸せでした
死ぬほど辛く死ぬほど幸せでした
きっと奥様もそういう状態にあるんでしょうね 本当に支えがなければやってこれませんでした
schzoさんのように理解がある方がおられて奥様はとても幸せだと思います
あまり無理なさらず自分の喜びも大切にしてくださいね ブログ読んで心が温まりました これからも無理なく頑張ってください 応援してます
グレッチさん
こんにちは。コメントありがとうございました。やはり数年は子供に返る時期を経験されたんですね。暖かい家族に支えられ、幸せに過ごされたと聞き、嬉しく思いました。同時に妻にもグレッチさんのように死ぬほど幸せだったと後から思ってもらえるよう、もっともっと気をつけて、頑張りたいなと思いました。でも同時に死ぬほどお辛かったんですね。大変なことですね。心が裸のようになって、ものすごい刺激を受けながら過ごすのでしょうね。コメントへの返信が遅く申し訳有りません。ブログに向き合うと、色々と直視しなければならず、かなり辛いのでどうしても逃避行動しがちになってしまい、他のことで気を紛らわそうとしてしまいます。またたまにブログにも遊びに来て下さい。