前回の投稿は12月22日だったのだが、その1週間前の15日から始まった最悪の調子の経過を書きたいと思う。
心配していたクリスマス。ブツブツ独り言を言い続け、時折激しく叫ぶ妻を後に、注文してあった「キティーとミミィの仲良しクリスマス」ケーキを受け取りに店へ。同時にノンアルコールのシャンパン的なものを買い、そこから少し離れたマクドナルドへハッピーセットを買いに行った。
両手に大荷物で家に帰った。ドアを開けるやいなや、家の中から聞こえてきた妻の独り言に、少しだけ抱いていた“クリスマス効果で妻の調子が少し良くなっているのではないか”という淡い期待は簡単に打ち壊された。
「マック」という言葉に反応して、もそもそと寝室から出てくる妻。ハッピーセットのおもちゃには目もくれず、私がシャカシャカしてやったチーズ味のシャカチキをちょこっとかじり、チーズバーガーをたった一口、ポテトを少々、コーラもほとんど飲まずに残した。そして「ケーキがあるよ」と引き留めようとする私の努力も虚しく、妻は寝室に去って行った。
私はめげずに「キティーとミミィの仲良しクリスマス」ケーキの、少し地味な部分を切り分けて、シャンパンのような飲み物と一緒に寝室に持って行ってみた。妻は一瞥したものの、食べようともしない。
数時間後、食べている気配も全くないので、さすがに冷やさないといけないケーキなので悪くなるかと思い寝室に行って冷蔵庫に入れた。飲み物だけは全部飲み干してあった。
正直、めちゃくちゃにがっかりして、「何が“キティーとミミィの仲良しクリスマス”だよ!」と叫んでしまったほどだ。
そしてうるさい。とにかくうるさい。体力的にも限界に来ていて、イライラしていたので、つい手をあげてしまった。またしても“クリスマスだったのに”だ。
でも、もしかすると“クリスマスだからこそ”なのかもしれない。クリスマスは妻が元気な時から単純に楽しみにしているイベントだったということに加えて、妻がずっと飼っていたネコの誕生日でもあるので、ものすごく特別なのだ。そんなわけで、私もなんだかこの日には期待が膨らみすぎる傾向にあるのかもしれない。そして現実との落差に、気分が地の底まで叩き落されるのだ。気をつけねば。
ケーキは次の日の朝、クリーム部分がカチカチになっていたものを私が朝ごはん、いや昼ごはんがわりに食べた。何かと言うと、夜通し妻が喋り続けているので眠れないのだ。だから起きる時間もめちゃくちゃだ。妻ももちろん眠っていないのだが、どうも夜中に足を触ったりするとだいぶ体温が上がっているので、妻は体的には睡眠しているのかもしれない。脳の一部だけ覚醒しているのか。とにかく全く眠れずつま先まで冷たくなった私と比べ、真夜中の妻の体はまるで熟睡している人のように温かい。私はかろうじて、限界まで起きていた後に知らぬ間に寝ているので、なんとか生きている。
とにかく、妻は食べない。というか、思考がめちゃくちゃに飛びまくっているようで、かえ歌を歌ったり、誰かと喧嘩していたり、何事かに反応して爆笑していたりで、そういうのに忙しいのか、目の前に食べ物を出してもほんの一口食べては箸を投げ出し、何処かに行ってそれっきり、という感じなのだ。
“キティーとミミィの仲良しクリスマス”ケーキは、妻がどうしてもキティーの顔の部分を食べようとしないので、妻が残して寝室へ行っている隙に、マシュマロでできたキティーの顔だけ私が食べ、下の部分だけ妻に改めて食べさせた。
そんなこんなで、私もだんだん買い物をする気も、食事を作る気も失せてきて、そこらへんにあるものを使って適当に少なめに料理的なものを作っては、妻にも出すが、ほとんど残すので結局私が1.8〜1.9人分食べるという状態を続けた。おかげで、レトルトカレーを残されたら、今までは仕方なく大量に捨てていたところを、今では翌朝にフライパンでドライカレーに仕立て上げるなんていう技も身についた。
そのまま大晦日に突入。正直ほぼまともに寝ていない。半月。長い。それでも妻は元気に叫んでいる。しかし、痩せた。だいぶ痩せている。あまりにもまずいので、私は僅かながら書いた年賀状を出すついでに、スーパーでうまい棒を大量に買った。うまい棒は、出したおやつの中で妻がよく食べたほうのお菓子なので買ったのだ。そんなものでも食べないと、妻のお腹は空っぽだ。それとスーパーで値下げされていた普通のお団子を2箱。そしてコーラにポテチだ。
案の定、家に着くと妻はテーブルに広げられたうまい棒を3本真っ先に食べた。お団子はほとんど残した。一安心しつつ紅白や格闘技番組を観ていると、紅白の時に寝室からテレビに合わせて歌う妻の声が聞こえて来たので、それ以降は紅白にした。いよいよ新年に突入しようかというタイミングで、やっぱ年越しそば食べさせなきゃな、と思い立ち、そばを作った。作っている途中で2017年になってしまったので、松竹梅のかまぼこを乗せ、妻を呼んだ。すると意外にも素直にテーブルに着いた妻は、年越しそばを笑いながら全部食べてくれた。とにかく嬉しかった。年が明けたので「明けましておめでとう」と妻に言ってみたが、全く無反応だった。だが、大晦日には妻はスヤスヤと眠った。
そして今日。元旦。朝妻を起こすと、妻は大爆笑しながら私が買って来たプチおせちをちょこっと食べ、お雑煮の汁だけ少し飲み、お餅は全部残して再び寝室に入って行った。多分今はあれで満足なのかもしれない。その後、例にもれず妻のぶんの残ったお餅も食べたが、なんだか2017年の始まりが、全く意味不明とはいえ、笑いで始まったことを喜びたいと思う。今日は妻がなんども手にとって箱をみていた家で作るプリンエルというものを作ってあげたところ、それは全部食べた。そして、今は寿司の大トロを替え歌に乗せて歌っている。食べたいのだろうか。
———
最後になりましたが、いつもこのブログを見に来てくださりありがとうございます。コメントをいただき、反応が遅いことも多々あり申し訳ない限りですが、コメントに元気づけられることも多く、感謝しています。
2017年が皆様にとって良い年になりますように。
schizo & phrenia
コメント
クリスマスケーキの下りで涙がでそうになりました。
素敵な旦那様で奥様は幸せなのに。
奥様が悩みから解放されるようにお祈りしてます。
明けましておめでとうございます。
クリスマス残念でした…。
でも、奥様の大好きな物をいっぱい抱えて帰宅されたschizoさんは、phreniaさんだけのサンタクロースみたいですね。
季節のイベントをその日にしなきゃならないなんて法律はありません。
奥様の体調の良い時にゆっくり楽しむのがいいと思います。
schizoさんもあまり無理をなさらないように…。
2017年がお二人にとって穏やかな一年でありますように。
こんにちは。いつもブログを拝見させていただいています。shizoさんの献身さには毎度感動させられています。思うところあり、書き込みさせていただきました。
現状の精神医学会は精神病を脳の病と捉え、心の側面からのアプローチは心理療法や認知行動療法によるものが主なものとなっていると思われます。
それは精神医学の歴史的背景と、日本の保険制度からくるもっともなものなのですが、その結果精神医学による治療法は薬物療法がメインであり、薬物が奏功しにくいものは難治性と言われます。
その薬物療法ができる前の、精神病の理解と治療法を模索する分野として、精神病理学と言われる分野があります。日本では木村敏氏が著名な方です。現在は精神病理学は衰退しそうですが、それは内容の誤りからではなく、精神病理学の難解さと、保険制度にそぐわない治療法を提案するからだと考えます。
木村敏氏の著書は、shizoさんのように身内のために献身する周りに人にとって、精神病の本質、成因論、接し方について、何らかの光明となるのではないかと思い、
推薦させていただきます。
なお、精神病理学はかなり難解です。しかし人づての解説では府には落ちないと思われます。良ければ読んでみてください。
オススメは「分裂病の現象学」「自己・あいだ・時間」です。
長々と失礼しました。
今、広島で世界最先端の統合失調症治療が行われています。
http://ameblo.jp/kotetsutokumi/
こちらのページを見てください。
フェイスブックで藤川先生のページに行っていただくのもOKです。
今、広島で世界最先端の統合失調症治療が行われています。
http://ameblo.jp/kotetsutokumi/
こちらのページを見てください。
フェイスブックで藤川先生のページに行っていただくのもOKです。
1.糖質制限をする
2.ナイアシン500mg、鉄サプリ(フェロケル)をすぐさまiherbやamazonで取り寄せる
3.肉食にする
4.できれば藤川徳美先生に診ていただく
4は無理でも1~3はできるかと。糖質は陽性症状を引き起こします。
実際、して「あげてる」事ばかりなのでしょうけれども「してあげた」ばかりがやたらと目につきます。
ともこさん
コメントありがとうございます。妻は12月中旬からなぜだかまた独り言が激しくなってしまっていますが、彼女なりに必死に頑張っていると思います。よく笑うのだけが救いです。頑張ります。
Kiraraさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
そうですね。妻phreniaだけのサンタがクリスマスに怒り狂っているなんて、まるでお笑いみたいですね。全くダメでした。ついつい一生懸命になってしまうところが悪いところですね。もう少し余裕を持ちたいものです。2017年もKiraraさんにとって良い年になりますように。
pathologyさん
コメント、そして貴重な情報ありがとうございます。
現状の精神医学、治療法などについてのご見識は私もその通りだなと思います。なかなかお金にならない治療法は日の目を見ないですね。本当は、医学界が上手く回るためのお金を循環させることを主眼にした治療法よりも、真に患者の為になる治療法が脚光を浴びるような世の中になって欲しいのですが。。。ご紹介いただきました本も著者の方も初めて聞きましたので、ぜひ読んでみたいと思います。
わんちゃんさん
コメント、そして貴重な情報ありがとございます。
ホームページ、見て見ました。良さそうです。栄養の件、ナイアシンや鉄分がどんな食べ物に含まれているか調べて、早速食材を選別して妻に食べさせています。肉や魚を増やし、甘いものは控え、鉄分豊富なほうれん草や海苔などの食材と、ナイアシンが含まれる魚類、豆類、コーヒーなどをたくさん。サプリも調べて見ます。食事と妻の症状については、いろいろ気づくところもありますので、また書きたいと思っています。
そらさん
コメントありがとうございます。
指摘されて少しハッとしました。一方的にこちらがしてあげるという意識では、よろしくないですね。ついつい横柄になってしまったり、何かこんなにしてあげているのにと不満に感じてしまったり。実際の妻は、今の所調子が悪い日がずっと続いていて、ほぼ全く話が通じない状態ですが、それでもいつもいつも飽きもせず、私の顔を見ては大笑いしながら独り言を言っていたり、その中の登場人物に私がいて何かストーリーを妻なりに想像というか、創造しながら喋っているようで、その姿にこちらも心が和らいだり、一緒に笑ったり、かなり賑やかに過ごすことができています。これも妻が体だけは元気で楽しく過ごしてくれているからこそなので、私も(ついつい忘れがちですが)感謝の気持ちを持ちつつやっていきたいと思います。
はじめまして。私も2017年の正月に統合失調症をもつ彼女と入籍しました。私自身も鬱にかかり施設に通っているときに出会ったのがきっかけでした。今は私の欝はかなりよくなり、正社員にもつける所まで回復しました。
入籍する時に。嫁さんの両親にはかなり心配されました。「無理ならいつでもいって」これが今の私の原動力です!この家族を救ってあげた。そしてこの子を幸せにしてあげた。無邪気に笑うときの顔は本当に癒されます。でも・・・週に何度かは心が折れそうになるときがあります。何をどうしてあげればいいのか・・・
苦しんでいますが、妻のほうがもっと頭の中のお客さんと戦っているんでしょうね。いつか二人で笑える日が来ることを願いながら、私も前に進もうと思います。
海豚さん
コメントいただきありがとうございます。
ご入籍おめでとうございます。統合失調症を持つ方とご結婚されたということで、これから楽しいこともある反面、普通とは違う苦労もあるかもしれませんが、海豚さんを選んだ奥さんには、海豚さんが必要だったのだと思うので、お二人でいろいろなことを乗り越え、一緒に楽しんで、末長くお幸せに暮らしてください。奥様のご両親のご理解もあり、正社員にもなられたのこと。出だしが好調で素晴らしいと思います。奥様も頭の中に“お客さん”が。。。妻も同じような感じの時があります。今は全く一人でハチャメチャなお話を創造しつつとめどなく喋り続けていますが。いろんな症状が出て、正直くじけそうになることがあるのも事実ですが、初心に戻りつつ、私も頑張りたいと思います。
お久しぶりです。いつもこちらのブログに勇気付けられています。奥様調子が悪いままなんですね…。クリスマスの記事で思わず涙が出てしまいました。イベントだから期待してしまう気持ち、痛い程分かります。そしてその気持ちを裏切られた時の落胆、悲しみや怒り…。もうどうしたら良いのか分からなくなりますよね。今まさに私もそんな気持ちでいっぱいでしたが、ここへ来てschizoさんやコメントをしている皆さんの頑張る姿を感じ、また明日から頑張ろうと思えました。いつも本当にありがとうございます。明日は今日より少しでも穏やかに過ごせますようお祈りしています。
愛さん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
クリスマスはどうしても“特別なんだ”という気持ちが抜けなくて、あのように落胆してしまったのですが、後から思い返すと我ながら情けない気持ちでいっぱいになります。あの後、妻は1月4日に調子よくなり、年賀状をくれて「クリスマスの猫の誕生日のお祝いありがとう」と書いてありました。側から見ると妻はお祝いも何もあったもんじゃないような状態に見えましたが、ちゃんと分かっていたんですね。私も皆さんからいただくコメントに励まされ、元気付けられることが多いです。このブログをもしもやっていなかったら、どうなっていたのか。わかりませんが、でもこうやって皆さんの頑張っておられる姿を垣間見流ことができ、本当に良かったと思っています。愛さんもたくさんお辛いこともあるかと思いますが、頑張ってください。応援しています。
そらさんへ
事実だろうし嫌なら見なきゃ良いんじゃないでしょうか?
何で上から目線のコメントなんだろうと思いました。
そら最低だな
そらは生きてる価値がないな。そらには何も価値がない
そらさん
まじで人の気持ちとか考えろよ!
そういう事かくなよ
こころさん
私は旦那様のことや奥様のことを心から応援していますが何故私が嫌だと思っていると感じられたのでしょうか。上から目線で書いたつもりは一切なく、一番最初の記事から読み直し私のような平凡な人間には想像を絶するような辛さがある事、それでも旦那様は本当に奥様を愛しておられると感じたましたので旦那様に気付いていただければと思いコメントを残しました。
そして旦那様はハッとさせられる事があったとお返事をくださいました。
最後になってしまいましたがこころさんのように上から目線でと感じられた方がいらっしゃる事は事実ですのでこれからは言葉遣いや表現の仕方を見直し気をつけていきたいと思います。ご指摘ありがとうございました。
からださん とさん
まとめてのお返事になってしまい申し訳ありません。
いただいたコメントに関しましてはそのまま返させていただきます。
あなた方の心の成長を祈っております。
そらさんの最初のコメント、前後の文章がなくいきなり書かれていたので、私もちょっとドキッとしました。
管理人様がショックを受けなければいいなと思っていましたら、丁寧なコメントを返されていたので管理人様は心が広い方だなと感じました。
後からのコメントで、そらさんの意図もよく分かりましたが、受け取る側の人格もそれぞれですからコメントを書くのは難しいなと改めて感じます。
ムーミさん
確かに、コメントを読んでドキッとしたりショックを受けたりすることはあります。心も広くないかもしれません。。。ただ同時にそういったコメントの中にも真実があると思いますので、いつも考え直したりしながら過ごしています。人間ですので、なかなかなんでも完璧にできるということはなく、上手くいくもの、行かないもの、いろいろです。今回のそらさんのコメントも、ドキッとした反面、確かに私自身の中に反省すべき点、改善すべき点が見つかったのも事実で、対応の仕方、受け取り方、色々考えて改善するきっかけにもなりました。からださん、こころさん、とさんからも、そらさんにコメントがあり、私も反応できずにいましたが、そんな中、コメントをくださりありがとうございました。