妻の徘徊から終了までの経緯

前回の投稿に対して、たくさんの方々からコメントを頂いた。

この病気を体験し、克服された方からの実体験に基づく「調子が悪い時の理由」そして「そのとき周りの人たちがどのように見えたか」、「なぜ(病的世界ではない)こちら側の世界に戻って来れたか」というお話や、統合失調的直感のお話。それからお子さんや親にこの病気を持つ方々からの、様々な苦労と、看護する上でやってこられた事などなど。
本当にどのコメントも、妻の事しか見ていない私にとってものすごく参考になる、勉強になることばかりだった。

それから、コメント欄でこのブログを読まれた看護されている方同士のコミュニケーションが生まれるなど、なんだかこの私の片隅の、小さなブログには余りあるようなすばらしい状態が起こったりして、ありがたい限りだ。

それらのコメントの中で、特に難しい問題だなと感じている物がある。それは、タイトルにも書いた通り「徘徊」の問題だ。徘徊は、統合失調症の患者ばかりの問題ではなく、老齢になれば誰にでも起こりうる事柄だったりするので、年代も幅広く、人数も相当な数になると思われ、それだけこの問題に頭を悩まされている方々も多いと思う。なので、今回の投稿では、たった一人の、私の妻の場合という限定ではあるが「どのようにして妻の徘徊が始まり、どのようにして終了したか」という例を書いてみたいと思う。

2012年12月3日の投稿「④妻の徘徊」に書いた通り、私の場合は、妻の徘徊を理由に、サラリーマン生活をやめざるを得なかった。
私が会社に行っている間に、パジャマ+バスタオルぐるぐる巻きで徘徊して警察に保護されたり、夜中に知らない間に家を抜け出して朝方パトカーで送られてきたり、散歩中にいきなり姿が見えなくなったり…。
本当に何時間も何時間も探し続け、警察に連絡し、心配で心配で、もう何も他の事はできなくなるほどだった。

徘徊の理由・原因など

それで、今思うに、妻が徘徊する時の考えられる理由はだいたい以下の通り:

1.私の姿が(長時間)見えないので、探しに出る

2.意識がはっきりした状態で通院などに出かけたものの、途中で症状悪化で意識不明瞭になり迷子になる

3.(夜中外出する際は特に)私が口うるさく言った事などが嫌で、プチ家出をする

4.(散歩中特に)おなかがすいた、のどが乾いたので、レストランに突然入る

5.私の実家の環境が嫌で、逃げる

6.(新しい家に引っ越しする時)外見が古い団地への入居が嫌で逃げた

1と2は、私が会社員時代のことで、これが何度も何度もあった。ついに、あまりにも心配なのと、警察や病院などから連絡が入るたびに、私が仕事を切り上げて迎えにいっていたので、会社にも迷惑がかかりまくりだったので退職した。3以降は退職後に一緒にほぼ24時間過ごすようになってからだ。

こうして振り返ってみると、徘徊したくなるだけの理由がちゃんとある(笑)。いや、全く笑い事では全然ないのだが、3などは明らかに私に責任があるし、1も4,5,6も全部不安や不満が原因になっている。2も何度もあったのだが、これはやはり病気の症状悪化でこうなってしまうので、一人で外出させるということは基本避けた方が良い、ということなのだろう。

あまり書きたい事柄ではないが、徘徊にはやはり「事故」や「自殺」の可能性というか心配が多いにある。幸い妻の場合は、事故もなく、(自尊心の塊なので)自殺することもなく、徘徊が終了した。しかし、家族にもしこの病気が原因で徘徊する人があれば、十分に対策していかなくてはならないと思う。

徘徊に対する対処

それで私がとった対処法は、だいたい以下の通りだ:

1.できるだけ家にいるようにする。もしくは妻を長時間ほったらかしにしない(外出時はメールを送る)

2.一人で外出させない。連れて行く。もしくは一人で妻が出かけたらついていく

3.口うるさくしない。できる事をできる範囲でやらせる(自尊心をもっともっと高める方向で)

4.常に妻の状態に気を配る(空腹の具合やのどの渇き、暑い、寒い、など)

5.実家から、よそへ引っ越して、ストレスを減らす

6.引っ越し先の環境を整える

6は具体的にどういう事かというと、家をきれいにする、妻の好きな物をいろいろ買う、居場所を作る、図書コーナーを作る、引っ越し先での妻の役割を作るなどなどだ。

妻は調子が良いときに、自分の快適な環境を作ろうとしている。例えばそこら中に作ったおりがみを並べる、ネコ関係の物を並べる、文房具を大好きな箱に入れる、寝室にネコグッズを集めるなどなど。

妻の役割を作る、というのは、妻が(調子の良い時限定だが)お風呂掃除、食器洗い、洗濯をするので、できるだけ私はそれをせず、かわりにお風呂洗い洗剤、食器洗い洗剤、洗濯用洗剤を切らさず常備しておくということだ。朝食の準備も、調子が良い時は妻が「パンにハムを乗せてトーストする」ことができるので、この材料はいつも準備している。

うちの妻の場合は、だいたいこのようなことをやっているうちに、徘徊が自然に収まった。そして今では、病気ながらも、今の家で自分の環境を快適に整えて、どうももう出て行く気はさらさら無いように見える。

これは、単なる一家族の事例に過ぎないが、この中で何か参考になることが書いてあれば良いなと願っている。

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コメント

  1. さちこ より:

    わたしも、統合失調症です。
    徘徊はしていました。
    私の場合はなにかに追われている感覚がひどく
    それから逃げるためのものでした。
    捜索願をかけられたり、家族にも大変迷惑を掛けました。

  2. schizo より:

    何か追っ手から逃げる、という感覚なのですね。
    追われる、というのは怖いですね。
    妻の場合は、しきりに現実には家の中にいない人に対して「出て行け!」と叫んでいます。逃げるではなく追い出す、ですね。
    どちらにしても、望まざる相手というのがいて、それを拒否するという感覚なのでしょうか。
    想像しかできませんが、ストレスがものすごいんでしょうね。