おさかな

妻はさかなが好きだ。お刺身はもちろん、寿司、焼き魚、煮物などなど。魚類なら多分なんでも好きだと思う。その割には、私がいつも煮魚の缶詰ばかり買っているので、ちょっとかわいそうなことになっているかもしれない。

私は料理が苦手で、さかな料理はほぼ全てできない。というかたぶん、才能がない。なにしろ自分で買ってきて冷蔵庫に入れたが最後、何を買ったのか忘れてしまうのだから。こう書けば思い出すが、今は賞味期限の切れた糸ごんにゃくと、冷凍庫にいつまで食べられるのか不明な冷凍ハムがある。たぶん、料理というか食べ物にあまり興味がないせいだと思う。こういうのを本当の意味で才能がないというのだろう。私でも興味が多少なりともある事については、忘れずにちゃんと覚えているから。

だいぶ話がそれてしまった。

昨日郵便受けから私が取ってきてソファの上に置いておいた近所のお寿司屋さんの広告のトップに、あなご寿司の写真があった。気づけば妻がソファの前で立ち止まって、そのあなご寿司の写真をじーっと見ている。今朝のことだ。それでお昼前にスーパーに行き、ちょうどあなご寿司が入った一人用お寿司詰め合わせみたいなものが売っていたので買って帰った。

家に帰ると、妻がごそごそと奥から出てきて、買い物袋の中のものを出し始める。思った通り、あなご入りバラエティー寿司を二つテーブルに乗せた。椅子の上に小鳥のように止まり木座りをしてスタンバイしている。

それで、「今朝、あなご寿司の写真みてたろう?」と私が言うと、“ばれた!”みたいな感じで笑っていた。ふたを開けて食べ始める。妻は巻物小や巻物大、いなり、いか、あなご、まぐろなど、一個ずつ食べる前に表情を変えつつ、何事か言いながら食べていたが、すごく機嫌が良かった。

妻の食べるスピードはだいたい私の1/5くらいか。めちゃくちゃ遅い。私は自分の分を食べた後、ずっと妻が何か言いながら食べるのを見ていたのだが、妻が一口ひとくち食べるのを見ていると、なんとも言えないような嬉しい気持ちになる。妻は調子が良いときでも食べるのが下手で、ぼろぼろこぼしながら食べるのだが、そんなことも特に気にならない。
子供を育てている時の母親はこんな気持ちなのだろうか。うちには子供がいないのでわからないが、なにかこうして食べたりすることが、将来につながっていくような気がするのかもしれない。

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コメント

  1. 吉田 より:

    いろいろ検索をしていて、このホームページを
    偶然にも見つけお邪魔しています。私の弟も統合失調症を発症し数年経過します。こまったことに薬を飲むのを拒絶し症状が悪化しはじめています。担当医とも相談しながらなんとかやっています。すみません、なぜこおに書きこんでいるのかわかりません。ただ、つらくて。申し訳ありません。

  2. schizo より:

    吉田さま
    コメントありがとうございました。このような小さな個人のページを見つけていただき感謝です。統合失調症を患われた弟さんの世話をされているのかと思います。本当に大変なので、私もコメントを読んで、さぞおつらいだろうなと思い、感情の高まりを抑えることができないほどです。ただただ頑張ってくださいとしか言えず、まったくふがいないですが。私の妻も薬を見せると、奪い取って遠くに放り投げるほど薬に嫌悪感があるようで、もう4年以上服薬していません。医師に見ていただきつつ、支持的精神療法を続けています。妻の場合は多くの副作用と最後に強烈な癲癇のような症状を示して意識を失って以来、薬に対して恐怖感のようなものを持っているように思います。弟さんも何か薬を拒否するきっかけのようなものがあったのかも知れませんね。弟さんの症状が落ち着かれること、そして吉田さまの気持ちや負担が少しでもこの先楽になることを心より願います。

  3. 吉田 より:

    ありがとうございました。少し楽になった気がします。