⑮県営住宅での1年間の生活

(2012年9月以降)

県営住宅に引越してから、2012年12月現在で1年3ヶ月だが、つい最近までを除いて入居から1年間の主な出来事を書いてみる。このページには、思いだしたら追記するかもしれないが、とりあえず大きな変化などを書いていきたいと思う。

引越ししてから、確かにストレス激減のせいか妻の状態は比較的落ち着いてきてはいたが、100%の状態からは程遠かった。

まずは生活パターンから。

とにかく不規則。数日間、夜も一人で喋り続けたかと思うと、気づいたら昼間でもソファで寝ている、と言う感じだった。もちろん調子の良い状態の時には、夜12時前には寝るが、私も妻に合わせて、妻が寝たら寝ることもあれば、妻がやっと静かになったのでやりたいことをやる、などいろいろなパターンで生活していた。

生活の内容という面では、妻にはできることと出来ないことがあった。

まず、ご飯を食べるという行動は、ご飯を出してあげれば××状態(妄想が酷く、興奮している状態)以外のタイミングでは、かなり時間はかかるものの食べることができたが、自分で作って食べる、もしくは買ってくる、買いに行こうという、などの自発的は行為はできないようだった。ではおなかがすいたら妻はどうしていたかというと、ひたすら冷蔵庫を開けたまま中を見ているか、ひたすら戸棚を開けて中を見ている。もしくは、ダイニングテーブルの椅子にスタンバイする。いずれもしゃがみこんで、かなり小さな姿になっている。椅子でスタンバイするときも、椅子の上に鳥のように止まり木座りをする。そしてたいていの場合、膝から下にかけて、足を擦っている。無言だ。それで、「何か食べたいのか?」とか「おなかすいたのか?」などと話しかけても無言なのだが、出してあげるとゆっくり食べ始める。

それから、出来なかったのはお風呂だ。引っ越してきて最初のうちは、妻には“知らない人”と言われていたこともあり、お風呂は一人で入らせていたが、どうも出てきても泡まみれだったり、髪を洗ってなかったり、そもそも出てこなかったりした。どのくらい出てこないかと言うと、夜に入らせて、私は疲れて寝て、朝、ベッドの隣にいないのでお風呂場に行くと、まだ湯船の中で座っている、という具合だ。当然お湯だったものは水になってしまっていて、もう冷たい。秋とか冬だ。自分で追い炊きもできないらしく、水になった湯船の中で朝方ガタガタ震えている妻を発見して唖然となった。別の日などは、2時間も3時間も延々シャワーの音がするので、待ちきれずにお風呂場に行くと、体の一箇所に延々お湯をかけながら、なにやら妻は独り言を言っている。そうこうしているうちに、髪もうまく乾かせなかったらしく、数ヶ月で頭の後ろにソフトボールくらいの大きさの髪の毛玉が出来てしまった。12月頃に、もうだめだと思って、ついに一緒にお風呂に行き、私が全部洗ってあげることにした。私は服を着ているのだが、裾やら袖を捲り上げて、妻を洗う。最初のうちは、何せ話が通じないことが多いので、なかなかうまくいかなかったが、最近ではもうやることをルーチン化したので、かなりうまくいく。

ちなみに、あの時に出来たソフトボール大の毛玉は美容院で切り落としてもらった。一時頭の後ろだけ1cmくらいになったが、帽子をかぶらせてしのいだ。

歯磨きも酷かった。実家に引っ越す前は、妻が口の中の1箇所だけ延々磨いたりして、歯茎が削れそうなので歯磨きをやってあげていたのだが、県営住宅に来てからは特に“知らない人”と疎まれていたので、磨いてあげることもできず、妻に任せていた。これは今でもまかせっきりだが、とにかく磨く力が強く、歯磨き時間もべらぼうに長いので、歯ブラシが2回くらい磨いたらすぐダメになる。一方向にブラシが寝てしまい、さらにブラシの間にゴミがつまりまくって、見るからにダメだ。なのでうちの歯ブラシは1本25円のものにしている。

逆に、なんでこれできるの?という不思議なものもあった。それはトイレ掃除だ。
妻はトイレに行った後、毎回、必ず、汚れていようがいまいがトイレブラシを持って、洗浄液をトイレにかけてごしごしやっている。これは××状態のときも◎のときも、例外なくやる。トイレに関しては、相当なきれい好きだ。××の時などは、妄想で“そこにいない誰か”と必死に大声で喧嘩しながらも、ブラシでごしごしやっている。そして、汚れていると、その誰かさんのせいにして、責め立てている。

あとは、調子が良いとき、◎や◯のときは、妻は洗濯機の脇にあるタオルを取り替えたり、たまに私が呼んで、一緒に皿洗いをしたり。そういうことはできた。あと、調子のいいとき限定だが、妻はとにかくゲームが好きなようで、ソファで延々ゲームをやっている。2011年内はFF12、2012年始めごろはもも鉄北海道、そして中ごろ以降はDQIXだ。どうでもいいことかもしれないが、DQIXのキャラには私が居ない。DQIXでは自分以外に3人引き連れられるが、妻の弟と、その他知らない男性2人だ。まあ多少寂しくはあるが、基本的に妻の記憶がなく、どうも話し言葉も幼少期の頃の土地のものなので仕方がない。

あと、驚くような能力を発揮することもあった。
テレビをつけていると、初めて聴いた曲であろうとも、2番が流れ始めた頃には即興で替え歌にしてしまうのだ。2012年の正月にマルモリの特集をしていたが、うちでは基本的に妻がテレビ嫌いなので、マルモリはリアルタイムで見ておらず、歌も初めて聴いたが、妻は早速替え歌にしていた。座ったまま踊りを真似て。1日に何回もマルモリの歌が流れたが、毎回替え歌の内容が違う。全部即興だ。これにはびっくりした。しかも音程もはずさない。でも歌詞の内容がえげつなかった。誰かの悪口だったりして。そこは残念だ。

そういえば、2012年3月ごろからか、妻は一切外出しなくなった。ついても来なくなったので、体力が落ちるのではないかと心配したが、かろうじて病院だけは、本人も重要な外出とわかっているのか、継続して行くことができた。

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