(2010年9月より)
会社を辞めたのはいいけど、次に心配になったのはやっぱりお金の問題。
給料は年々下がっていたし、特に大きく貯金してあるわけでもなかった割には、やむにやまれず先のことも考えずに退職してしまった。それほど事態が切迫していた。
後ろ向きに考えても仕方がないので、とりあえず入金のあてをいろいろ洗い出した。
まずは退職金。これは勤務年数も短いのであまりあてにはできない金額。2桁前半止まり。
次に失業保険。これも急いで手続きしたものの、やはり妻の介護が理由での退職とはいえ、職安の基準では“自己都合退職”扱い。失業給付が始まるのは3ヵ月後で給付期間は3ヶ月間。あまりあてにならない。
やはり自力で稼がなければ!ということだが、妻の面倒をみながら出来ることは限られている。なにせ、食事の準備・片付け、掃除、洗濯、買い物をしながら、妻の日常生活の手助けをしなくてはならない。時間が取れないわけではないけれど、目が離せない。
いろいろ考えた挙句、FX(外国為替証拠金取引)に目をつけた。これは昔証券会社に勤めた経験があって、ある程度の知識があったから。それで、当時貯めてあったわずかなお金を元手に始めてみた。
確かに儲かる。1取引で5万儲かったりする。逆に1取引で2万5千吹っ飛んだりする。でも問題はやはり時間をとられてしまうこと。確実に稼ごうと思ったら、私の場合はチャートに張り付いてスキャルピング的な取引でしかなかなか難しく、どうしても長くて5分足のチャートとにらめっこになってしまっていた。
これだと、目を離した隙に大失敗、ということもありうるので、疲れるし、どうしてもイライラしがちになる。そうすると妻の病気にも良いわけがない。
それなら、というんでトレンドを読みながら日足や週足で中・長期を狙っても、当たれば大きいが、何か突発的な金融イベントが起こった場合、大きくはずして大き目の損失を被る。
そこで、またもや考えた末に、当時出たばかりの自動取引というのを使ってみた。これは最初は連続で稼いでくれて、見る見るうちに10万、15万と増えていったが、次の取引であっという間に無くなっていた。「ダメだ、システムが馬鹿だ・・・」。「そうか、国内のシステムは出来たばかりだからまだまだか」。「というか、手数料商売だから、顧客があまり損しない程度にしておいて、取引回数を増やす手か・・・」などいろいろ考えてみた。
ということで、今度は海外FXに目を向けてみた。MT4というソフト上でEAと呼ばれるさまざまな自動取引ソフトを走らせる、という手法で海外では主流の取引手法のようだった。そこで早速数社の海外FX会社に口座を開き、MT4とEAを走らせてみた。すると、同じEAでも取引会社によって成績が違う。なかには明らかに不審な挙動をしているFX会社もある。妙なスパイクでポジションを奪っていく。これはおかしい、というんでいろいろ調べると、まぁいろいろ悪評がたっている。
勝ったり負けたりで、最終的にはマイナス数万円だったと思う。どうも、FXをメインにするのは無理がある、そう悟るのに4ヶ月費やした。「これは、余ったお金で適当にやろう」。そう思った。
さあどうする、と思案していた頃、市の税金支払い請求が来た。とても高い。このままでは破産する!
それもそのはず、退職しても税金は前年度の実績で算出されるとのことで、失業者にも容赦ないのだ。
仕方ないので、正直に払えませんと言おう、と思い市役所に出向いた。これが、結果的にはプラスに働いた。